STORY
d0129106_12531393.jpg
まずは右足。
爪先で地面を蹴って、足の裏が宙を浮く。
すると前から母の声が聞こえてくる。
薄紅色の声に引かれて一歩前へ。

次に左足。
膝を少し曲げながら、太ももを持ち上げる。
すると後ろから父の匂いがかすかに漂う。
大きな手に押されて一歩前へ。

もう一度、右足。
ゆっくり手を振り、少し顎をひく。
すると横にあなたがいることに気がつく。
静かな息づかいに寄り添ってもう一歩前へ。

これまでずっとそうしてきた。
これからもずっとそうしていく。

あゆみが止まるそのときまで。
[PR]
by toi-zuqnz | 2008-04-10 12:32 | STORY
<< 柴 幸男/劇作家・演出家 「あゆみ」は歩む演劇である >>